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1-顔面神経麻痺のしくみと治療
●はじめに

 いま、このブログを見ている人の中には顔面神経麻痺を発症し、これから自分はどうなっていくのだろうと、大きな不安に駆られながら検索した方もいるのではないでしょうか…。

 私は4年前に脳梗塞で倒れ、その原因となった糖尿病のインスリン治療、持病の喘息、他に頚椎症性神経根症を治療中で、唾石症の(左顎下腺摘出)手術も控えています。
 そんな病気のコレクターのような私が、2009年3月5日にハント症候群を発症しました。
目をしっかりと開く
口角を上げてほほえむ

 医者から「ハント症候群は高齢で(60歳)糖尿病があると治療に対してのリスクが高い、即入院して点滴注射を」と強く勧められましたが、仕事の都合等で入院できず、飲み薬だけの治療になり、これでは後遺症が出てもしかたがないと覚悟をしていたのですが、上の経過写真のように、思った以上に回復しました。

 顔面神経麻痺は個人個人の症状や神経変性の状態が多様でつかみづらく、治療やリハビリの方法もはっきりとは確立されていないように思います。
 医療関係者ではない私のような素人の立場で治療やリハビリに対して意見を言うことへの是非はあるでしょうが、患者として経験してきたことや、この病気への自分なりの調査と解釈、治療・リハビリにおける少しの工夫などが、何かの参考になればと思い、ブログを開設してみました。

 尚、当サイトの掲載画像、写真、記事等の無断転載を禁じさせていただきます。

●顔面麻痺を発症したら…

○できるだけ早く耳鼻咽喉科(なるべく入院設備がある)の診察を受けて下さい。早期診断と早期治療が重要です。ハント症候群の場合、発症3日以内に治療を開始した場合と、7日目以降では治癒率に大きな差が出るようです。
 神経変性に対して、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が有効なのは発症後一週間以内、顔面神経の浮腫を取る目的のステロイド薬は二週間とされています。

 あなたがまだ診察を受けていないのなら、今すぐ病院へ向かってください。

●顔面神経麻痺のしくみと後遺症について(改訂)

○そもそも顔面神経が麻痺した状態とはどうなっているのか?神経が再生する時に、なぜ後遺症が出る人と出ない人がいるのか?なぜ病的共同運動が起こるのか…漠然として、イメージするのがとても難しいと思います。
 はじめに顔面神経と神経線維の構造を図にしてみました。

顔面神経と神経線維の構造

 神経細胞(ニューロン)は細胞体とそこから細く長く伸び出した、神経線維と呼ばれる糸のような突起等で構成されています。この神経線維の構造は、軸索(じくさく)を芯にして、いくつものシュワン細胞がロールケーキのように巻きつき髄鞘(ずいしょう)という組織を形成しています。髄鞘は間隔をあけて並び、この構造によって神経線維の表面を走る電気信号(脳からの指令)の速度を上げています。この神経線維がたくさん集まって結合組織の膜に包まれ、鞘の中に収められたものが神経です。

 顔面神経は脳からの指令を顔面筋(表情筋)に伝える神経ですが、脳から頭蓋骨を抜ける時に、側頭骨内にある硬くて狭い骨性顔面神経管という部分(長さ約3.5cm)を通ります。顔面神経管内では、神経内膜という結合組織等で囲まれた4000本あまりの神経線維が密に集積しています。神経は顔面神経管の中で膝神経節(しつしんけいせつ)という、小さなふくらみを形成し、管を出て枝分かれし、眼や口の顔面筋へと伸びています。
 この膝神経節に潜んでいた帯状疱疹ウイルス(水痘ウイルス)が、疲れやストレス等何らかの原因で再活性化し、顔面神経や内耳神経が侵されて顔面麻痺や難聴、めまい等を起こすのがハント症候群です。

 ウイルスに侵された神経は炎症による損傷を受けるとともに腫れあがり、硬くて狭い骨性顔面神経管の中で管に絞めつけられることになります。同時に血管も圧迫されて神経に栄養や酸素を送る血液の流れも悪くなり、この悪循環によっていっそう神経の障害は高度に進み、脱随や軸索断裂によるワーラー変性や神経内膜の損傷等が起こります。こうした神経の障害(変性)の程度により、治癒をする場合と、神経が再生する時に迷入再生を起こし、病的共同運動等の後遺症が出てしまう場合があると考えられています。
 神経の障害(変性)の程度と再生のしくみを図にしてみました。
 実際の神経線維は白色なのですが、分かりやすいように色を付けています。

神経変性と再生・予後

 概念図は、目や頬や口に行く神経を代表していると考えてください。顔面神経麻痺は図に見られるように、個々の患者の神経(髄鞘、軸索、神経内膜等)の損傷や変性の状態により、予後が変わってきます。

○神経無動作の状態は神経の浮腫等により、骨性顔面神経管の中で神経が圧迫されているのみで、髄鞘や軸索に障害はほとんどない状態です。圧がなくなれば顔面神経麻痺は早めに完全回復をします。

○脱髄の状態は髄鞘が損傷を受けているのみで、局所的な伝導障害があるものの軸索に障害はなく、ワーラー変性が起きていないので、髄鞘の再生とともに顔面神経麻痺はほぼ完全に回復できます。

○軸索の断裂があると末梢方向へワーラー変性が起き、損傷遠位部の伝導はなくなりますが、神経内膜等が温存されている場合には軸索が間違った方向に再生されることがないので、良好な回復が期待できます。

○軸索断裂と神経内膜の損傷がある場合、ワーラー変性とともに、再生する軸索が方向性を失い、迷入再生を起こします。過誤支配や多分枝支配等の「病的共同運動」が出現する可能性が高いといえます。
 断裂した部位から末梢側方向への軸索は、およそ10日間で消失し、髄鞘も融解していきます。その後、神経が再生される(1日約1ミリ)途中、本来は口に向かうべき神経が目の方に枝分かれしてしまうこと等があり、後遺症として口を動かすと目が一緒に動く等の「病的共同運動」が起こります。また、唾液の分泌を支配する神経と涙の分泌を支配する神経が混同してしまうと、食事の時に涙が勝手に出てしまう「ワニの涙症候群」が現れる場合があります。

 個々の患者の特性はあるものの、ベル麻痺やハント症候群における神経の障害(変性)の度合いは、初期治療としての、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬(約1週間)と浮腫や炎症等を抑えるステロイド薬の投与の期間(約2週間)に決定されると言えるかもしれません。
 早期診断、早期治療開始の必要性は、ここにあるようです。

○NET(never excitability test)とENoG(electroneurography)の検査
 神経の障害(変性)の状態を調べる電気診断法では、神経興奮性検査:NET (never excitability test)の場合は発症7日目頃に最大値となり、健側と麻痺側の差が3.5mA以上を異常値としています。神経線維(髄鞘・軸索等)の障害(変性)が軽度か高度かをさらに詳しく知るには、発症10~14日頃に最低値となる誘発筋電図検査:ENoG (electroneurography)の結果によります。医学書では、ENoG値10%以下を異常値とし、ENoG値が0%の完全脱神経の場合にはすべての症例で非治癒となってしまい、20%以下では後遺症の出ることが多く、20%以上であれば予後はおおむね良好であろうとされていますが、40%以下なら何らかの後遺症が出る可能性があり注意が必要です。ENoG値が40%以上であれば、ほとんどの場合3ヵ月以内に治癒するとされています。(ここでの%の数値は、ワーラー変性の起きていない神経線維の割合と考えて良いかと思います)
 顔面麻痺が高度な場合、予後診断によって、これからの治療方針やリハビリの方法を決めていくことがたいせつだと思います。

●低周波治療は…

○治療の最大の目的は、神経をできるだけ元通りに再生させ、後遺症を出さない、「病的共同運動」を起こさせないことだと思います。神経変性の図に見るように、神経の障害(変性)が高度な場合、神経構造(髄鞘・軸索・神経内膜等)は不安定な状態にあります。不適当と思われる刺激や無理な力を加えることは、さらに神経を傷つけ、再生する神経線維に迷入再生を起こさせる要因のひとつになるのではと思われます。低周波治療は顔面筋の萎縮や拘縮を防ぐのが目的とされていますが、顔面筋は他の筋肉に比べ、短期間に萎縮するものではないと言われています。
 通常、特に発症早期における低周波治療や粗大なマッサージ、強力な顔面筋運動は、してはならないとされています。
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[2010/02/13 21:43] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(103) | page top
2-顔面筋の運動訓練(リハビリ)
●温める(冷やさない)こと…

○治療2週間目、医師に「リハビリとか何かした方が良いのでしょうか?」と聞いたところ、“顔面筋の運動訓練”の図を渡されました。
 一般的には、発症後2週間は何もしない方が良いとされているようです。これは前出のように、抗ウイルス薬、ステロイド薬投与による入院点滴治療の2週間で神経の障害(変性)の度合いが決定されるので、それまでは不適当な刺激や無理な力を加えない方が良いということだと思います。また、運動訓練も顔面筋が動き始めてから徐々に行うとされているようです。
 私は完全麻痺の状態だったので、まったく動かせない場合は何もすることが無いなと考えていたのですが、仮に私の顔面筋が動き始めるのが3カ月後になったとすれば、顔面筋の萎縮等はどうなのかと心配になりました。

 そんな時、友人Fから「長時間のドライブをした時、窓を開けて顔面片側に風を受け続け、冷えたことが原因で顔面神経麻痺(ベル麻痺)になった」と聞かされました。
 高齢と糖尿病でリスクの高い私です。何もしないよりも、温める(冷やさない)ことだけでも、顔面神経をより自然な状態に再生させることにつながるのではないか、多少でも顔面筋の萎縮や拘縮を防げるのではと思いました。
 電気診断法では発症後10日で数値がピークに達します。そのあいだ、神経の障害(変性)は進んでいるのでしょうが、同時に軸索の再生の準備も始まっています。私は発症10日目から、蒸しタオルで顔面を温め始めました。

●運動訓練を始める前に

○できるならENoG(electroneurography)の検査を受けてください。麻痺発症7~10日後ぐらいから行います。神経障害(変性)の程度やおよその予後を知っておくことも、治療やリハビリに必要だと思います。

○通常、顔面筋の運動訓練は鏡を見ながら行うと指導されているのですが、麻痺して動かない歪んだ自分の顔を見つめながらの運動が、はたして精神的に良いものでしょうか?
 患者は鏡を見るたびに、不安に襲われ、予後を心配して早く治したいと焦ります。鏡を見ながら運動を行うと、健常側の顔面筋を使って麻痺側の顔を無理やり動かそうとしたり、動かすべき部位以外のところに不自然な力が加わります。動かない目を閉じようと、歯をくいしばるようなことが、病的共同運動の引き金にならないかと心配します。特に、私のように完全麻痺のような状態であれば、神経がある程度再生してきて顔面筋と正常に連携するまでは、鏡を見ないで行う方が良いのではないかと思いました。

 健常側の神経と顔面筋はそのままに、麻痺側に病的共同運動が起らぬよう注意をしつつ、元の自然な状態に再生させるにはどうすれば良いのかと考えて、次のように段階的な方法で顔面筋の運動訓練を試してみました。

STEP 1.神経の再生を第一とし、顔面筋と顔面神経の自然な連携をめざします。

STEP 2.共同運動が起きぬよう、パーツ別の動きを心がけ、徐々に顔面筋の回復を。

STEP 3.鏡の前で左右対称をチェックし、バランスの取れた表情の固定化を。


●顔面筋の運動訓練(リハビリ)の注意

○以下に顔面筋の運動訓練図を示してみます。
 これは私個人のリハビリの経験を基に、病院・医学書等いくつかの顔面筋の運動訓練図を分析して新たに作ったものであり、医療関係の裏付けはありません。患者の皆様におかれましては、ご自身の判断と責任において行うようお願い申し上げます。
 また、掲載イラスト、内容記事等の無断転載を禁じさせていただきます。

顔面筋の運動訓練最終完成
顔面筋の運動訓練その2最終完
顔面筋の運動訓練その3最終完

○私は麻痺発症の10日後からSTEP1.を始めました。顔面筋の運動訓練とすれば時期が早いのではと思われるでしょうが、意識しなくても健側は普段色々な表情をしているわけですから、その範囲の中での運動であればかまわないだろうとの考えです。また、前出のように温めたいという気持ちが強くあったからです。
 1日3回毎食後に行いました。食事の時は目を開いて、なるべくまぶたを動かさないように気をつけて咀嚼し、病的共同運動が起きるのを防ぎます。
 運動の前に全身の力を抜き、蒸しタオルで温めて、顔面全体の緊張や食事で疲れた口まわりをリラックスさせます。力を入れすぎないで、普段の表情ぐらいの感じで動かします。
 私のように完全麻痺に近い状態で、麻痺側がまったく動かせなくても、麻痺側が動き出す前から健側にも目なら目だけ、口なら口だけ動かすクセをつけておくことで「病的共同運動」を回避するとともに、蒸しタオルで温めることで神経の再生をうながし、顔面筋の萎縮も防ぎたいという考えがベースにあります。

 動かせなくても焦らずゆっくりと軽く、イメージトレーニングのつもりで行います。疲れを感じるようなら無理をせず、運動訓練はしないで温めるだけでも良いと思います。

●運動訓練の後はU字カバーを

 運動が終わったあとは、顔面がつっぱらないように保湿用のローション等を塗り、トイレ用U字カバーを巻くことをお薦めします。耳の帯状疱疹にかからぬよう、軽く巻きます(帯状疱疹が帯状疱疹として他人にうつることは殆どありませんが、水疱瘡に罹ったことのない大人(成人の約5~8%)や赤ちゃんや子供には、水疱瘡として感染することがあるので(主に接触感染)注意が必要です)。
 U字カバーを巻くことで顔面の保温とともに、麻痺して下がった頬と口を少しでもリストアップして、通常に近い位置で神経が再生されるのを待つことが良いと思ったからです。

 U字カバーを巻くのは恥ずかしいと思うでしょうが、これは私のイチ押しなので、日中巻くことができない環境にある人も、夕食後にはぜひ行ってください。圧迫しない程度に軽く巻きます。

 少し危ない人のような写真に見えるので、目を隠させていただきました。

U字カバー完成

 顔面神経の再生とともに、STEP2、STEP3へと移行しますが、
実際の症状や治療、リハビリの状況がわかりやすいように
3-の闘病日記・経過記録もぜひご参照ください。

○尚、私事ではありますが、私は糖尿病治療の為に15kg 減量し、その分シワシワっぽくなり、顔面筋の運動訓練をすることで、よけいにシワが増えるかなと思っていたのですが、運動を続けていくうち、5カ月を過ぎる頃から顔のシワが減り、若くなったと言われるようになりました。今現在は週2・3回、夕食後か就寝前に蒸しタオルなしで行っています。個人差はあるでしょうが、治癒した方も左右対称のバランスチェックを兼ねて、時々顔面筋の運動訓練をすることをお薦めします。

[2010/02/14 15:17] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
3-1日記・顔面麻痺発症から治療開始
 私はメモ程度の日記を時々付けています。ブログを開設するにあたり、内容が分かりやすいよう加筆、写真等を添えてまとめてみました。

●顔面神経麻痺発症の前兆

○2月20日 この頃から隣人の騒音で不眠症ぎみに。音はそれほどでもないのだが、隣人のことを最低の人間だと思っているので(説明略)腹が立って眠れないのである。仕事の方も(私はフリーのデザイナーをしています)停滞していてストレスが溜まっているなと感じる。耳栓をし、睡眠導入剤(デパス)を1錠飲んで寝る。

○2月24日 朝、右耳が少し痛い感じがする。耳栓をして寝ていたせいかとあまり気にせず、いつも通り仕事を進める。寝不足で体がだるい。

○2月28日 耳の痛みに加えて右後頭部に時々ピリピリと頭痛が始まる。このまま中耳炎にでもなったらいやだなあと、寝るときの耳栓はやめる。

○3月1日 右耳の痛みと頭痛は少し強くなってきた感じ。外耳の対珠という部分にポツっと赤く小さな疱疹のようなものができているのを見つける。頭痛は相変わらずで不眠ぎみが続く。友人のアニメーターM君から電話。隣人のことと不眠を伝える。「何か楽しいことでも考えたら」と言われる。楽しいこと…?「隣人をボコボコにすること」と言うとタメ息をつかれ、話がはずまずに電話終わる。

○3月4日 仕事の完成見本(カンプと言います)提出の準備をしていると、クライアントより内容変更の連絡あり。「えーッ、今から作り直し?」…納得できないけれど、ここは我慢。耳の痛みと頭痛が少し広がってきたように感じる。耳鳴りもあるようだ。外耳の疱疹は赤茶色がかってきて押さえると痛い。最悪な気分になる。睡眠導入剤(デパス)2錠を服用するが、朝方まで寝つけず。

●顔面神経麻痺を発症

○3月5日 うそのように頭痛が治まる。耳は相変わらず痛いが頭痛がなくなったので、これから耳の方も良くなっていくのかなと、ほっとする。友人のイラストレーターN氏が遊びにきて楽しくしゃべくる。寝不足で疲れているはずなのに体は元気で、そのあとの仕事も快調。

 夜9時、お風呂で洗面器のお湯を両手ですくい、勢いよく顔にバシャとかけた瞬間、右目の突然の痛みにびっくりする。物がよく見えない。何が起こったのかすぐには分からず、鏡に顔を近づけてみる。右のコンタクトレンズ(ハード)がずれている。右目に直接お湯が入ったようだ。なぜ??左目をしばたかせて顔全体を見る。……顔の右側が変だ。右瞼が動かない。まばたきができない。ああ口もしびれた感じ。動かせない…麻痺だ。 またか!?

 私は4年前に脳梗塞による右半身の麻痺を経験しているので、その再発ではないかと愕然とし、手指や足が動かせるかを、ゆっくりと確認しながら「らりるれろ」と発音してみる。言える。舌は動くようだが唇が変だ「まみむめも」が言えない。唇の右側に力が入らないから「ばびぶべぼ」「ぱぴぷぺぽ」も難しい。麻痺は顔面だけのようだ…脳梗塞の時の麻痺とは何かが違うと感じる。

 どうしよう…とにかく明日朝一番に病院へ行くことだけ考えよう。

●脳神経外科から耳鼻咽喉科へ

○3月6日 脳梗塞の治療を受けている脳神経外科へ。
 当日の担当F医師に、これまでの耳の痛みや頭痛、耳鳴り等の経緯を説明すると、私の目に光を当て、口を開けさせ、次に耳の疱疹を確認。

 即座に「はい!完全ハント症候群です」と、はっきり断言。

 なに?聞いたこともない病名。カンゼンという言い方もなんだか楽しそうで気に入らないし…?(不全ハント症候群もあると後で判明。めまいや難聴、帯状疱疹等が出ない場合もあり、顔面神経麻痺を発症した時点で、はっきりと症状の揃っている完全ハント症候群は60%に満たないとされています。また、耳や口中の帯状疱疹は顔面神経麻痺に遅れて現れることがあり、麻痺発症後3日間は特に、最長2週間は観察が必要です。ちなみに、ベル麻痺と診断されても、その中の20%近くはハント症候群といわれます。ハント症候群かベル麻痺であるかは、ペア血清によるウイルス抗体検査でおよその判断ができますが、これには時間がかかるようです。)
 私が心配していた、脳梗塞からくる顔面麻痺ではないとの説明で、少しは安心。

 原因は、子供のころに罹った水疱瘡が治った後、ウイルスが神経節に潜んでいて、ストレスや疲れ等、何らかの原因で体調や免疫力が落ちてくると、眠っていたウイルスが起きだして帯状疱疹として神経に障害を与える。右顔面神経麻痺は、右耳の傍の膝神経節からきていると説明してくれたあと
 「これから、もっと悪くなるだろうね」と恐ろしい宣告。「水をよく飲むように」とも言われる。

 院内の耳鼻咽喉科に連絡をとってもらい、M女医に引き継がれる。

 最初に左右の聴覚検査。無音の部屋に入り、ヘッドホンをつけ片側ずつ音が聞こえたら手元のボタンを押す(純音聴力検査)。結果は知らされていないので不明。次にM女医の指示で色々な顔の表情をさせられる。顔の歪みはそれほどでもないが、表情をつくろうとしても動かせない。(のちに麻痺程度評価の柳原法と知る。自己採点で40点満点中、12点ぐらいか)

 「すぐに入院して下さい」とM女医。
 そんなに大変な病気なのか?と驚きながらも、いま入っている仕事のことを考えると、入院はとても無理。「4月からなら入院できますが」と言うと、「それでは意味がない」と、「この病気は抗ウイルス剤とステロイドを発症初期に集中的に体に入れることが大切で、それには点滴注射をするので、その管理のためにも入院が必要。特に糖尿病の人はステロイドを使うと血糖値が跳ね上がるので、入院してもらわないと治療はできない…」とのこと。
 「いま季刊誌の仕事で納品日が決まっていて、内容が複雑なので他の人に頼めない(外注できるほどの制作費、貰ってないし)、とても入院はできない」と泣きつき、糖尿病のコントロールは上手くいっているから、何とかならないかと相談。

 M女医から内分泌科に連絡。私の糖尿病担当医S医師と電話で話し合ってもらう。

 「S医師から、血糖値が上がった場合のインスリン注射量の指示をする、と言われたので入院ではなく、いちおう飲み薬で治療してみます」と、M女医から念を押すように言われる。パソコンの院内データから、現在私が飲んでいる薬を確認しながら、「まずは最初の1週間を1クール目として薬を出しますので」と、処方箋をもらう。

○ハント症候群1クール目(1週間分・3月6日~3月12日)の薬-----

バルトレックス錠500…朝食・昼食・夕食後2錠(抗ウイルス剤)
プレドニン錠5mg…最初の3日(3月6・7・8日)
              朝食・昼食・夕食後2錠(副腎皮質ステロイド剤)
           次の3日(3月9・10・11日)
              朝食・夕食後2錠
           最終の1日(3月12日)
              朝食・夕食後1錠
※注)私の場合、糖尿病があるのでステロイド剤は通常より投与量が少ない
カルナクリン錠25…朝食・昼食・夕食後1錠(血液の循環)
アデホスコーワ顆粒10%…朝食・昼食・夕食後1包(血管を拡げる)
パリエット錠10mg…朝食後1錠(胃酸の分泌を抑える)
メチコバール500ug…朝食・昼食・夕食後1錠(ビタミンB12・髄鞘形成促進)

○その他の疾病で現在服用中の薬
パナルジン…朝食・夕食後1錠(脳梗塞の予防薬)
ブロプレス…朝食後1錠(降圧剤)
インスリン注射…速効型、朝食・昼食・夕食前(糖尿病治療)
デパス…睡眠導入剤(眠れない時)

●調剤薬局でのやりとり

 処方箋を持って、病院傍のいつも行く調剤薬局Sへ。薬の説明を受ける。
 私の顔を見ながら「今すぐここで薬を飲んでください」とのこと。
 午後1時半ぐらいだったので、「昼食が終わってから昼食後の薬を飲もうと思っていたのですが…」と言うと、「ハント症候群の場合、抗ウイルス剤とステロイドを一刻も早く体にとり込む方が良いのと、薬は1日分がトータルとして処方されているので、今すぐ朝の分を飲んで、そのあと昼食を取り、4時間後に昼の分の薬を飲み、それからまた4時間以上開けて夕食後に飲んでください」とのこと。
 そんなにシビアな病気なのかと実感するとともに、この病気に詳しく、自信を持って説明してくれる薬剤師さんに感謝。


[2010/02/15 18:50] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
3-2日記・顔面神経麻痺と生活する工夫
●麻痺がどんどん進む

○3月7日○3月8日 症状は日を追うごとに悪化する。
 耳の帯状疱疹は対珠の内側にもできて対珠が赤く腫れて痛い。顔の歪みもひどくなる。麻痺側はまったく動かせない。きちんと薬を飲んでいるのになぜ?と思うが初診の時に脳神経外科のF医師から「もっと悪くなるから」と言われていたので、これだなと思い、不安や焦りは無い。聞いていて良かったとF医師に感謝。
 水をたくさん飲むようにも言われていたので、麦茶でたっぷりと補給。毎食前に血糖値を測ると普段よりずっと高くなることが多く、糖尿病担当医S医師から指示されたとおり、血糖値によって単位を変えながらインスリンを打つ。
 不眠症がひどい。デバスを飲むが、耳の中で蝉の鳴くような音がして眠れない。耳鳴りだ。現実か幻聴か分からない音も時々聞こえる。目が閉じられないので、薬局で買ったドライアイ用のトロリとした目薬をさし、眼帯をして寝る。医学書には、眼軟膏を下眼瞼に塗って閉眼させた後、ガーゼや眼帯で眼を覆うと書いてある。

●食事のとり方

○3月9日 昼食に天ぷらソバを作る。他に小ライスと納豆と野菜サラダをテーブルに並べて…うん完璧!
 ソバを一口食べたとたん、「しまった。つゆにスープの素を入れ忘れた!」味がない、ひどマズ!急いでキッチンに行くと、スープの素の使用済み空袋がある……何で? 
 これは自分の味覚が変なのだ。ネットで調べる。なるほど…舌、前3分の2の味覚がダメになっているようだ。

○顔面神経麻痺になってからは外で食事はせず、ほとんど中食にする。口から食べ物がこぼれ落ちてしまうのと、食事に時間が掛かりすぎるので、店や他の客に迷惑かと思う。
 普通にスープを口に含むと、右側の唇が開いているのでスープがビューと飛び出してしまう。皿に下唇をつけ、右親指で右の下唇を皿に押しつけ、こぼれないようにして皿を傾ける。スープを流し込んだら人差し指で唇の右側上部を押さえ、親指と人差し指で挟んで口に含む。最初から唇を挟んで、健側の唇の間からストローで吸うという手もある。
 ご飯もポロポロこぼれるので、唇を指で挟んでから咀嚼する。最初のうちは、咀嚼する時に右頬の内側をガリッと歯で噛んでしまい血豆ができ、痛くて大変。頬の筋肉がたるんで動かせないからだ。モゴモゴと咀嚼していると、歯茎と頬の間にごはん粒がどんどん溜まって気持ち悪い。何度も指でかき出して食べていたが、慣れてくると逆に溜まるだけ溜めて咀嚼すると、頬の内側を噛まないで済む。右頬をごはん粒でパンパンにふくらませた後は、わりと普通に咀嚼することができる。これを「ハムスター喰い」と命名。

 尚、食事の時は口の動きに集中して、目を一緒に動かさないよう、本に書いてあった。病的共同運動を避けるためとのこと。

 歯磨きの時も唇を指で挟んですすぐ、麻痺した側の唇のすき間からわざと水鉄砲のようにピューと吹き出すと、少しは楽しい。

●パソコンとコンタクトレンズ

○3月10日 変更直しをくらった仕事を進める。パソコン上でデザインやレイアウト、文章を打ち込むが、ここで困ったのがコンタクトレンズ。
 最初は眼帯をして片目でモニターを見ていたが、とても疲れる。眼帯をはずすとコンタクトをしている左目と、裸眼の右目との視力の差がありすぎて、焦点が合わない。結局、麻痺してまばたきのできない右目にもコンタクトを入れて、両目でやることにした。
 1日8~10時間ぐらいモニターを見ながら仕事をすると、まばたきのできない右目がかすみ、視力が落ちて物が2重に見えてくる。何度も潤い保持の目薬をさすが、とても追いつかない。
 やはり、本来ならきちんと入院すべきで、パソコンで仕事など、もってのほかと思い知る。

 友人のイラストレーターM氏から電話。顔面麻痺のことを伝えると、彼も以前顔面麻痺になったことがあるとのこと。展覧会に間に合わす為に4日ぐらい徹夜をして絵を描き、疲れとストレスで顔面麻痺に…1か月ほどで完治とのこと、ベル麻痺であろう。
 麻痺側のコンタクトレンズが外しにくいことを伝えると「スポイトがあるよ」と教えてもらう。

《ハードコンタクトを使用している方に》

 基本的には完全閉眼ができ、医師の許可が出るまではコンタクトレンズを使用してはいけません。

 ハードコンタクトを外すときは瞼と指の力を連携させて、クリッと外す訳ですが、顔面神経麻痺になると瞼に力が入りません。閉眼ができても以前のように上手く外せるようになるまでには時間がかかる場合もあります。無理に外そうとして角膜を傷つけぬよう注意をして下さい。目薬をさして潤いを与え、2~3分なじませてから、スポイトを使って外しましょう。(ハードコンタクトレンズ用スポイト350~400円位)

コンタクト仕上げ

 仕事仲間や友人に聞くと、他にイラストレーターF氏も以前、顔面神経麻痺の経験があり、「長時間のドライブをした時、窓を開けて顔面片側に風を受け続け、冷えたことが原因で翌朝、顔面神経麻痺になっているのに気がついた」と言い、「治りが悪くて、今でも治癒状態は60%ぐらい」とのこと。
 顔面の麻痺が少し残っているのと、「ワニの涙症候群」と呼ばれる症状もあるようだ。(顔面神経麻痺の場合、発症後およそ6~8ヵ月で症状は固定されるので、8ヵ月以上経過すると回復は困難になると言われている。) 

●マスクと眼帯…他人の目。

○3月11日 私が住んでいるマンションでは、住人にあいさつする度に、顔を見られてビクっとされる。目をそらす人がほとんどだが、「どうしたんですか?」と聞く人もいるので、ハント症候群の説明がとても上手くなる。これもコミュニケーションのひとつかと思うが、嬉しくはない。歪んだ顔を目の当たりにすると「早く良くなって」とか、何も言葉が出ないようだ。仕方ないかなとも思う。
 もっとも、脳梗塞と糖尿病でヘタっていた時のように、「絶対に治るから頑張って」などと言われる方がつらい。糖尿病は一生治らないものだし、脳梗塞も再発しないよう一生薬を飲み続けなければいけないのは、本人が一番よく分かっているのだから…。病人には「おだいじに」程度の方が良いのかなと思う。
 顔面神経麻痺も、自分の場合はリスクが高いので後遺症の覚悟はできているつもりだ。

 「仕事仲間や友人たちにも、顔面が麻痺していることを電話で知らせる。みんな慰めの言葉をくれるが、「見世物小屋に出れば儲かる」とか「嫁入り前の娘でなくて良かったよ」と変な反応ばかり。こういう言い方をわざとして、逆に元気が出るよう励ましてくれているのだな…と思う(ホンマか?)。見舞金という話はまったく出ない。
 でも、女性が顔面麻痺になったら本当にキツイだろうなと思う。「勇気を出して人前に」などとても言えない。状況が許すなら、ある程度治るまでは、ひきこもった方が良い。治療とリハビリに専念して、腹を据えて結果を待つしかない。

 外出の時はマスクと眼帯をすることにした。マスクをするのは他人に顔を見られたくないこともあるが、自分自身が麻痺のことを考えないように、という方が大きいかも。顔面の保温も兼ねている。眼帯は、まばたきができないので、風がまともに目にぶつかると本当に痛いから。

 取引先の会社に仕事を届ける。会議室で担当者と打ち合わせ。マスクと眼帯で顔を隠し、左目だけ出して、「ばびぶべぼ」が喋りづらそうに仕事の説明をする私。「どうしたのですか?」と聞いて欲しいのに、担当者はニヤニヤとしながら「コイツ、ケンカで殴られたな」とでも言いたげな様子。
 そう思われるのも嫌なので、手品のように顔の前で両手をクロスさせ「実は顔面麻痺になりまして」と、マスクと眼帯を外して顔を見せつける。「……」無言のまま、うつむく担当者。一瞬、「勝った」と思った(なんでや?)。
 何ごともなかったように打ち合わせが進む。いつものように、コーヒーを持ってきてくれた女子社員に、にっこりと「いただきます!」…女子社員の顔が固まる。これも無言。そのあとは他の社員が次々と、用もないのに見に来る。まったく見物料でも取りたい気分。

●治療1クール目の最終日、幽体離脱?か

○3月12日 今日が1クール目の最後の日。麻痺した顔面は全く動かない。
 ネットや本に、ほとんどの場合最初の1、2週間、麻痺は良くならないと書いてあったし、これ以上麻痺は悪くなりようがないなと思うので、鏡はできるだけ見ないようにしている。耳の疱疹は少し腫れが引いてきたがさわると痛い。耳鳴りは相変わらずだが、気にしなければ忘れている。
 明日は病院の再診日。早めに風呂に入ろうと思った時に、突然体調が悪くなる。痛くも寒くもないがどうも具合が悪い。自分が自分でないようなフワフワとして、めまいがするようで気分が重い。
 このままいっちゃうのかなと、少し不安になる。糖尿の低血糖かとも思うが血糖値を測る気力が出ない。糖分の入った缶ジュースを飲みベッドに横になる。30分ほどでなんとか治まった。

●再診。完全麻痺?のまま、治療2クール目に入る

○3月13日 耳鼻咽喉科再診、M女医の診察を受ける。初診の時と同じように、麻痺程度評価の柳原法で、色々な表情をさせられる。限りなく0点に近い完全麻痺なのだろう、ああ~とM女医の口調が重い。(40点満点中、8点以下で完全麻痺、36点以上で完治とされる)
 「目を強く閉じてみて」と言われ、瞼に力を込める。あっ、見えなくなったので閉じられたかなと思う。でも、M女医が固まっているようだ。(後で、自分で写真を撮って確認すると、白目になっていたから見えなかったのだと判明。自分で見てもまるで死体写真だなと思う。)
目をしっかり閉じる

 「これからは良くなります」とM女医。これ以上悪くなりようがないです…と言いたかったが、私は患者の品格をたいせつにしているので我慢をする。

 2クール目の処方箋を出して貰う。1クール目に出ていた抗ウイルス剤「パルトレックス錠500」がなくなった。(抗ウイルス剤は発症後1週間しか効果がないらしい)2クール目の期間は2週間で、最初の1週間より次の1週間は薬の種類が減る。

○ハント症候群2クール目(最初の1週間分・3月13日~3月19日)の薬-----

プレドニン錠5mg…最初の3日(3月13・14・15日)
              朝食・昼食・夕食後2錠(副腎皮質ステロイド剤)
         次の3日(3月16・17・185日)
              朝食・夕食後2錠
         最終の1日(3月19日)
              朝食・夕食後1錠
※注)私の場合、糖尿病があるのでステロイド剤は通常より投与量が少ない
カルナクリン錠25…朝食・昼食・夕食後1錠(血液の循環)
アデホスコーワ顆粒10%…朝食・昼食・夕食後1包(血管を拡げる)
パリエット錠10mg…朝食後1錠(胃酸の分泌を抑える)
メチコバール500ug…朝食・昼食・夕食後1錠(ビタミンB12・髄鞘形成促進)

○次の1週間分(3月20日~3月26日)の薬-----

カルナクリン錠25…朝食・昼食・夕食後1錠(血液の循環)
アデホスコーワ顆粒10%…朝食・昼食・夕食後1包(血管を拡げる)
メチコパール500ug…朝食・昼食・夕食後1錠(ビタミンB12・髄鞘形成促進)

○その他の疾病で現在服用中の薬
パナルジン…朝食・夕食後1錠(脳梗塞の予防薬)
ブロプレス…朝食後1錠(降圧剤)
インスリン注射…速効型、朝食・昼食・夕食前(糖尿病治療)
デパス…睡眠導入剤(眠れない時)

 「リハビリとか何かした方が良いのでしょうか?」とM女医に尋ねると、“顔面筋の運動訓練”という絵図の入った紙を渡される。

○病院からもらった顔面筋の運動訓練の絵と同じ表情をして自分の顔写真をデジカメで撮る。麻痺が治るかどうか分からないけれど、記録をとっておかねばと思う。(この時はまだ麻痺程度評価の柳原法を知らなかったが、運動訓練と重なる表情も多い。このブログに載せている麻痺の症例写真はこの日に撮ったもの。)

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○この頃から、空いた時間があれば東京駅近くの丸善や八重洲ブックセンターの医学書コーナーで、耳鼻咽喉科の本を読みあさっています(医学書は価格が高いので2時間ぐらいは平気で立ち読みします)。
 M女医が診察と処方箋を出すときに見ていた2冊の本も発見。黒い表紙の本は6千円ちょっとで、少し大きめの手帳ぐらいのサイズだけれど内容充実。赤い表紙でひとまわり小さい方は3千4百円と、医学書としては安いけれど、実際の治療薬の処方を中心とした内容で、2冊とも実用書としてとても優れているように思えたので、なんだか安心。

 一般の本屋で売っている家庭用医学書では、ハント症候群や顔面神経麻痺の記載はほとんど無く、自分の受けている治療や今後のリハビリ等を調べるには、医者向けの医学書を読むか、インターネットで調べるしかありません。ネットでは鍼灸マッサージ治療院等の記載が多く、耳鼻咽喉科のHPと読み比べても、それぞれの治療法とリハビリに対する考え方には多少の違いがあるように思います。もちろん患者の気持ちとしては、最善の治療とリハビリで後遺症を残したくないというのが本音です。

 ラフな服装で、2時間も立ち読みしていると、店員の人が本の整理をしながら様子をうかがっている風。やはり、嫌がられますよね。お医者さんの白衣でも着て立ち読みしようかと思ってしまう。
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[2010/02/16 21:51] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
3-3日記・顔面筋の運動訓練を開始する
●顔面まったく動かず…蒸しタオルとイメージトレーニング

○3月13日 今日から1日3回、食後に顔面筋の運動訓練を開始。
 食事そのものが口の訓練のようなものだと思ったので、まずは全身の力を抜き、食事で疲れた口を休ませる為のリラックス。
 洗面器にお風呂の温度ぐらいのお湯とタオルを用意し、お湯をしぼったタオルで顔を温めながら5分ぐらい深呼吸をする。蒸しタオルが冷えてきたら洗面器にポットからお湯を足して、タオルを浸けてしぼり、また顔に乗せる。
 温めることで顔面筋の萎縮予防、顔面神経の自然な再生にも役立つのではと考える。

 本には低周波治療や強いマッサージはしないことと書いてあったので、運動も強くやってはいけないと思い、蒸しタオルの上に両手の平を軽く乗せ、力を入れないで顔面筋の運動どおりにゆっくりと動かしてみる。
 手の平に健側の動きを感じるが、麻痺側は全然動かない。麻痺側が動き始めるまでは運動訓練をしない方が良いかと考えてみるが、日常生活の中でも健側は普通に動いているのだから、不自然な力を入れなければ悪い影響はないのではと思うし、何よりも温めたいという考えがある。

 頭の中に訓練図のイラストの顔を思い浮かべて、蒸しタオルの下で麻痺側も健側と同じように動いている自分の顔をイメージする。イメージトレーニングだ。これって気功に通じるものがあるのではないかと勝手に思ったりもする。それに、目なら目、口なら口だけを動かすよう本に書いてあったので、今からそのクセをつけておこう。(別表「顔面筋の運動訓練」その1のSTEP1を参照のこと)

 運動の後は、冷やさない(温めた)方が良いかと思い、タオルを巻いてみるが分厚くてうまくいかない。強く圧迫するのも良くないなと考えながらトイレに入る。
 「うっ!」とひらめき、タンスから洗濯済みのU字カバーを出して巻いてみる。

 これは具合がいい。麻痺して下がった顔面のリストアップにもなるか…?耳の帯状疱疹に掛からない位置で、圧迫しない程度に軽く巻く。「うさぎちゃん」の耳みたいで恥ずかしいが、部屋にいるときは一人なので、これからはU字カバーを顔に巻くことにしよう。

○3月14日 仲の良い従兄弟のH君から久しぶりに「ご機嫌いかがですか」のメールあり。
 顔面神経麻痺になったことの報告とハント症候群の説明。本当は入院治療が必要だけど、人に頼めないし、仕事やらないと喰っていけない。入院のお金も(この病院、全部個室なので部屋代だけでも1日3万円以上掛かる)もったいないし…と、昨日撮った顔面麻痺の写真数点をメールに添付して送る。

○3月15日 従兄弟のH君からメールの返事がくる。お見舞いの言葉と、テレビドラマ(この頃に放映されていた)の「銭ゲバ」みたいですね…との感想。
 えっ、俺って「松ケン」に似ている?と一瞬、顔の半面に傷のある主役を思ったけど大きな間違い。松山ケンイチではなく、カネ無くて病気の妻に満足な治療を受けさせられないという「銭ゲバ」の中の刑事役の設定に似ているということ。

 あり余るお金があれば働かないし、ストレスも起きないから顔面麻痺にはなっていないな…と、「蟹工船」でも読んでみたいと思うが、安い仕事の直しで忙しいから時間ないしと、貧乏人気分満タンで少しへこむ。

○3月17・18日 朝、目が覚めて、自分が顔面麻痺だと思い出すのが辛い。ボディブローのように効いてくる。寝不足を体中に感じながら起床。
 朝食と蒸しタオルでの顔面イメージ運動→仕事→昼食と蒸しタオルでの顔面イメージ運動→仕事→夕食と蒸しタオルでの顔面イメージ運動→睡眠導入剤(デパス)を飲んで寝る…のくり返し。仕事中は顔面麻痺のことを忘れている。顔面まったく動かず。鏡は全然見ない。

 なるようにしかならない、焦らない、焦らないと自分に言い聞かす。
 時間ができると本屋で医学書の立ち読み。「顔面筋の運動訓練」は自分で工夫して色々なことを試してみる。

○3月19日 公園で顔なじみの猫ちゃんと遊ぶ。以前と変わらない、かわいいしぐさで寄ってくる。
 顔の変形には気がつかないようだ(あたりまえか)。ペットセラピーの必要性を強く認識する。
 どんな時にでも信じられるのはペットだけだよー!(どうした?)。

ねこちゃん仕上げ

○3月20日 故郷(山口県)の兄から嫌な内容の電話あり。「ばびぶべぼ」のしゃべりが上手くできないので、バレる前に顔面神経麻痺を報告。
 「糖尿病が悪くてそうなったのか?」と少し嬉しそうな兄。そーいう兄なのである(説明略)。

 これで母にも伝わるだろうから(母親には心配を掛けたくないので、後遺症の程度が分かってから連絡をしようと思っていた)、夕方になって母に連絡して説明。
 麻生さん(元総理)よりも顔がひん曲っている(この言い方は後で反省)ことや、後遺症の残る可能性が高いことを話す。母から「マスクをすれば良いだけだから気にしないように」と明るく励まされる。

 そういえば、以前脳梗塞で倒れた時も、皆から「坂上二郎さんと同じ脳梗塞?」と言われたが、母だけが「西城秀樹と一緒ね」と言ってくれた。母親とは有り難いものである。(べつに二郎さんが嫌いという訳ではありません、欽ちゃんは嫌いだけれど)

○3月21日 耳の帯状疱疹はだいぶ良くなってきたが、痛みは少し残っている。
 耳鳴りは蝉の鳴き声がずっと続いているが、普段は気にならない。夏が好きだから、このままでも良いかなと思う。たまに蝉の声がなくなると、キーンと、数秒間ほど金属音のような大きい音があふれる。

 顔面麻痺は相変わらず全く動かないが、蒸しタオルを乗せてイメージトレーニング。

[2010/02/17 19:20] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
3-4日記・麻痺側の顔面筋が動き出した
●最初に額が動き出した。「キターッ!(古い)」と叫ぶ。

○3月22日 朝食後、いつものように蒸しタオルで顔面筋の運動訓練。
 額のしわ寄せ運動の時に手の平に小さな動きを感じる。額がほんの少し動いているようだ。あわててタオルを外して鏡で確認する。僅かだが麻痺側の右眉の上が動かせる。
 思わず「来た、キタ、キターッ!」と叫ぶ。嬉しい。麻痺して17日目だから、まずまずか…。
 ここからが勝負だなと思い蒸しタオルを乗せ、今まで通り、ゆっくりと運動をする。ドキドキと興奮しているので、「治らなくてもいいや」と強がっていた自分を少し恥ずかしく思う。

○3月23日 昨日より額と眉の動きが良い。上から下りてくるように、上瞼も少し上下させることができる。ほんの1、2mmぐらいか。早く目を閉じられるようになりたいなあと思いながら、焦らず、焦らず、無理な力を込めないように気をつけながら、蒸しタオルでトレーニング。そのあとU字カバー。頬や口はまだ動かせない。

○3月24日 瞼が3分の1ぐらい閉じられるようになる。このペースは良い方か?神経の再生する速さは1日1~2ミリと本に書いてあり、末端の顔面神経は7,000本もあるとか…。.
 共同運動が起きないよう願いながら、目なら目だけ、口なら口だけを動かすように心がける。まだまだゆっくりと軽く、力を入れすぎないように。

○3月25日 仕事の修正の量がすごい。修正というより、先方からの一方的な内容変更直し。これって、けっこうストレスになる。修正料金なんて出ないし(ストレスの原因はコレか)。ジャンボ宝くじでも当たれば、唾吐いて仕事をやめてやるぞ!(そーゆう人には当たらんよ、と友人のアニメーターM)。
 確率論からいけば、顔面神経麻痺になる人は、ベル麻痺で年間10万人中30~35人ぐらい。ハント症候群で10万人中8~9人程度(ベル麻痺の中の隠れハント症候群含む)らしい。こんな確率のハント症候群になったのだから、私が他に治療中の持病の確率もかけ合わせて考えると、毎回買っているジャンボや、たまに買うロト6の高額賞金にそろそろ当たっても良いはず。
 神は居ないのか、神様が居ることを証明したければ、神は私に1等を与えるべきだ!(神様が居るからお前に当てさせないのだよ、と友人M)

○3月26日 瞼が3分の2ぐらい閉じられる。頬も少し持ち上げられるようだ。最初口が動くようになったのかと思って、健側の左の口の端に人差し指を入れ、上下の唇だけで指を噛んで圧力を試してみる。次に麻痺側の右の口端に指をくわえてみるが、圧力はまったく感じられない。歯磨きの時、相変わらず水がピューと出るし、まだまだか。
 明日は検診日なので早めに寝る。…と思ったが寝つけずデバス飲む。

●再々診、3クール目に入る。

○3月27日 耳鼻咽頭科3回目の受診。顔面神経麻痺を発症して3週間経つ。担当M女医から柳原法の麻痺程度評価。
 「あっ、動いていますね」と色々な表情をさせられる。‘口笛を吹く‘、‘ほほを膨らませる‘のはダメ。自己診断で40点中14点ぐらいか。
 「1カ月様子をみましょう」とM女医。薬はメチコバールのみ、続けて下さいとのこと。

○ハント症候群3クール目(1カ月分・3月27日~4月27日)の薬-----

○メチコバール500ug…朝食・昼食・夕食後1錠(ビタミンB12・髄鞘形成促進)

○その他の疾病で現在服用中の薬
パナルジン…朝食・夕食後1錠(脳梗塞の治療薬)
ブロプレス…朝食後1錠(降圧剤)
インスリン注射…速効型、朝食・昼食・夕食前(糖尿病治療)
デパス…睡眠導入剤(眠れない時)

○3月28・29・30・31日 仕事追い込みに入る。できるだけイライラしないよう、いつものように蒸しタオルで顔面筋の運動訓練。手の平に健側と麻痺側の同じところが動いているのを感じる。
 この調子だなと思いつつ鏡は見ない。仕事に集中。

●順調に回復しているようだ

○4月1日 最終校正のつもりで仕上げた仕事を届ける。
 「おっ 顔がだいぶ治ってきたね」と担当者。「はい、おかげさまで」と、何のおかげやと思いながらも、にっこりする。
 「オバケみたいだったよね」と、いらんことを言う担当者。ムッとするが自分でもオバケだなと思っていたので気にしない。
 それよりもう修正出すなよ~と念じていたけど、ふざけんなの大修正。
 顔が‘はんにゃ‘になっている自分を感じ、これでは麻痺に悪いと思い、顔面筋運動の‘口角をあげて微笑む‘の表情に直す。


○4月3日 なんとか修正を済ませて、印刷会社のIさんへ仕事のデータを渡す。
 他の人から聞いていたのだろう、顔をじっと見られる。

 あれっ?という表情なのはどっちだ?たぶん顔面麻痺でひどく顔が歪んでいると聞いていたのに、そんなでもないからだろう…と思いたい。鏡を見ると、ぱっと見は麻痺が分からなくなっているようだ。

○4月4日 全体的に順調に治ってきたなと感じる。目はしっかりつぶることができる。顔面筋の運動も蒸しタオルの下で、ほとんど左右同じように動いている。今のところ心配していた病的共同運動の兆候はない。
 口は閉まっているように見えるが、水を含んで頬をふくらまそうとすると右端からピューと出てしまう。

○4月6日 朝起きると右耳がまた痛くなっている。再発という言葉が頭をよぎる。耳の疱疹がなくなってから、以前のように耳栓をして寝ているせいかと思う。仕事もひと段落ついたところなので何もせずに横になって休む。

 医学書を見てもハント症候群の再発率は見つけられない。
 ベル麻痺の再発率は約6~7%らしい。糖尿病患者における顔面神経麻痺の再発率は10%ぐらいと本に載っていた。少し心配。
(その後の調べで、ハント症候群では帯状疱疹のウイルスそのものが強力なので、強い免疫力を獲得することになり、再発はほとんど無いとのこと。ただし、免疫力の低下に係わる疾患を持っている場合は、帯状疱疹として複数回の再発もありうるとされています)

○4月8日 仕事が暇になると顔面神経麻痺のことを考えてしまう。耳を押さえると痛みはかすかに感じるが、頭痛や疱疹が出ていないので再発はしないだろうと思う。
 私の場合、ハント症候群発症の引き金は疲れとストレスだったと思うので、今後は心身に負担を掛けない生活を心がけよう。
 仕事一筋の真面目で頑張りすぎる性格や、人への思いやりや気遣いばかりして、自分に厳しいのもほどほどにしなければ…(自分を飾る言葉がもっと沢山あったはずなのに…これ以上うかばない)。

●顔面筋の運動にキープを入れてくる。

○4月10・11・12日 このところ麻痺側の頬が軽く痙攣することがある。少し前から顔面筋の運動にキープを取り入れてきたせいか?

 顔面筋も筋肉なのだからと静的筋力トレーニングを加える(例:1・2・3・4と頭の中で数えながら口角を上げ1・2とキープ、1・2・3・4と元の位置に戻す)。
キープの時に無理な力は加えない。違和感がある時はキープを入れないことにしよう。
 相変わらず蒸しタオルで温めながらの運動。そのあとU字カバー。

○4月13・14日 ウォーミングアップとして顔面を蒸しタオルで温めるが、運動をする時は蒸しタオルを外し、保湿用ローションを塗り、鏡を見て顔面が左右対称になるよう注意しながら、各運動を自分で決めた回数分行う。
 キープの時間は治りの良い額、目は4秒、鼻は3秒、まだ麻痺が残っている口の運動等はキープを入れないことにした。キープの目的は筋力強化よりも左右対称の表情の固定化だ。
 口笛を吹く運動で1・2・3・4と唇を突き出し、1・2とキープし、1・2・3・4と元の表情に戻すと、見た目では分からないが下唇に違和感があり、下唇だけが固まっているような変な感覚が残る。キープを入れなければ起こらない。
 全部の運動が終わると、リラックスさせるためにまた蒸しタオルで温める。その後は保湿用ローションを塗り、U字カバーで保温。

 どの程度治ったか比べてみたかったので前回(3月13日の完全麻痺の時)と同じ表情をして自分の顔写真をデジカメで撮る。
 パソコンの中で並べてみるとよく分かる。発症9日目と40日目である(このブログに使っている写真)。
 仕事仲間や友人たちに「だいぶ良くなりました」と並べた写真4パターンをメールに添付して送る。

基本口笛仕上げ
基本小鼻仕上げ


○4月15・16日 仕事仲間や友人たちからメールの返事がくるが、実際に麻痺した顔を見ていなかった人には、とてもショックだったようだ。
 友人たちの間で情報が飛びかい「見た?うん、ひどい顔!」と、話題になっていたという。当の本人が感じる以上に、写真の顔が不気味で引いてしまったらしい。

 ○4月17・18・19・20・21日 日を追うごとに顔面神経麻痺は良くなっているようだ。最後に残っていた下唇の変な感覚はキープを入れても起こらなくなり、頬を膨らませて空気や水を口に含むことができる。唇の端で指を挟むと健側の3分の2ぐらいの力が麻痺側にも感じられる。
 素人考えだと、耳からの距離が一番遠いのが口だから、それだけ神経の再生に時間がかかるのかと思いながら、口の神経の再生が終わるまでは、病的共同運動の起こる可能性が残っているのかな…と気を引き締める。(後で知ったのだが、病的共同運動が現れ始めるのは顔面麻痺発症から3~4ヵ月過ぎた頃かららしい)

 このままうまく行けば、病的共同運動の心配はないように思うので、表情に左右対称のクセをつけるためキープは最大6秒まで増やし、キープの時には顔面筋の力を調整してみることにした。
 キープの目的はあくまで顔面の左右対称であり、鏡を見ながら、どの程度の力を入れたり、抜いたりすると左右対称の状態になるのかを、脳と神経と筋肉に覚えさせる為で、左右対称のバランスの固定化だ。これは、私が脳梗塞のリハビリ(右半身・手・指のマヒ等、完治)で試した方法を取り入れてみた。

 運動前後の蒸しタオルは続ける。


[2010/02/18 21:07] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(14) | page top
3-5日記・顔面神経麻痺ほぼ完治か?
●発症後50日、顔面神経麻痺ほぼ完治か?

 ○4月・22・23・24・25・26日 顔面筋の運動は朝食後と、夕食後の1日2回にする。気候も温かくなったので、運動後のU字カバーはやめる。
 明日で3クール目が終わりになるが、様子を見るということだったので再診の予約はしていない。状態は良いと思うのでこのまま自己管理ということにしよう。
 メチコバール(ビタミンB12・髄鞘形成促進等)は、頚椎症の整形外科で出してもらえる。

○4月28日 糖尿病の定期診断で内分泌科に。採血の結果で「食後2時間の血糖値とヘモグロビンA1cの数値が麻痺発症前に戻っていますね」とS医師から知らされひと安心。少し誉められたが、もっと誉めて欲しい。頑張ったのだから。

 S医師は以前、「あなたは理想的な糖尿病患者です」と言ってくれた(言葉の選び方が少し変じゃないですかとは思ったが)。私はどんどん誉められて、信頼されるすぐれた患者になりたい。

○5月 このところ、知らない人から親切にされたり、よく話しかけられる。顔面神経麻痺で、少し前までは見て見ぬふりをされていたのに…なぜ?
 「今年も大変ですね」と言われて初めて気付く。服装のせいだ。先日古着屋で買った、横浜ベイスターズのスタジャン。未使用で800円。安!買うしかないね。単に気軽に着られるジャンパーが欲しかっただけ、野球にほとんど興味がないので何も考えずに着ていた。

 2008年セリーグ最下位で2009年もビリ独走中。なるほど、野球ファンの誰からも恨まれない。ベイスターズファンが見れば同志であり、他球団のファンからは、横浜ベイスターズがいるからビリにならなくて済む、愛すべき球団。
 同情されているのか?逆境球団のジャンパーを堂々と着ている私は、根性のあるファン、頑張っている人に見えるらしい。
 顔面神経麻痺の方は頑張っても冷たくされていたのに…マイノリティでも異様なものはダメってか。

 他人に好感を持たれる極意が分かったような気がするが、これって他に応用が効かないよなー。

横浜仕上げ

●STEP 3の運動訓練も仕上げに

○5月下旬 温かいので運動前後の蒸しタオルはやめる。この頃は朝、鏡を見て左右のバランスをチェックしながら運動訓練。

 昼間は普通に仕事をし、寝る前にもう1度ベッドの中で「顔面筋の運動訓練」図を見ながら、麻痺側に手の平を乗せ順番にしたがって行う。鏡は割れると危ないのでベッドの中では使わない。もともと運動の順番は額から口の方へ下りてくるように作ったので全て覚えてはいるのだが、訓練図の顔のイラストを見ながら同じ表情をすれば、次はどんな運動だっけ?とか何も考えないで楽にやれる。
 これが睡眠導入剤の代わりになってすごく良い。最後の運動に行くころには眠くてしょうがなくなり、枕元のライトを消す。不眠症の人にはぜひ試してみて欲しい。
 また、職場等で昼食後、鏡を見ながらの運動訓練がしづらい環境にある人も、訓練図を手に持ち麻痺側に手の平をあてて、イラストの顔を見ながらすることをお薦めします。はたからは仕事中のように見えます。

○6月5日 整形外科で頚椎症の定期診断。
 ひとしきり顔面神経麻痺の話をしたあと、担当のI医師が私の顔をじっと見ながら「早く麻痺が治るといいですね」と言うので、「あの、もう治っていると思うのですが…?」と、ガッカリだよー。
 ひょっとして、また顔がひん曲ったのかと心配になり院内のトイレで鏡を見る。自分としてはこの顔で治ったつもりなのに…整形外科的には変な顔なのか?と少しムカッとする。これを機会にイケ面に整形して、麻痺が治りすぎたと言ってごまかすのもありだなと思ってしまう。

 …今後も顔面筋の運動訓練は続けてみよう。
  (病的共同運動の予防と顔面の左右対称の固定化のために8ヵ月以上は続けた方が良いようです)

 というより、次は唾石症(だせきしょう)の手術のことも考えねば…。
長い年月をかけて大きくなる唾石。「私は真珠貝と同じなのか…」とのんきに思っていたら、「石が唾液線とからみついているので左顎下腺全摘出になります」とのこと。

 左顎の下にある唾液線の中に、1.5cmと7mmの大きさの2個の石があり、2年に1度ぐらい炎症を起こす。お医者さんから「手術はいつにしますか」と聞かれ、「仕事が落ち着いてからします」と言って(石の摘出には10~12日間の入院手術が必要)逃げ廻っているうちに、ハント症候群を発症した訳です。(唾石症は麻痺側ではない左顎下線だし落ち着いていたので、今回の顔面神経麻痺の原因ではないとは思いますが)

 手術をしたら、唾液が足りなくなってメシが喰いづらくなるのでは?と心配していたら、「大丈夫。皆でツバを集めておくから、食事の時にはそれを飲みながら食べればいい」と友人に言われ、想像すると本当にとても気持ちが悪くなったので、これから唾石症の勉強をして、よりよい方向を考えることにしよう。

○2010年7月12日 いまだに考え中。(手術から逃げている)

●患者の方へ

 顔面神経麻痺になることは大変なショックを受け、なぜ自分がという精神的な苦痛に見舞われます。冷静に受けとめるのは難しいことです。心の中は麻痺した顔面のことで一杯になるでしょう。
 でも考えてみてください。麻痺になる前に、あなたが色々なことで悩んでいたのなら、今はそれを忘れることができていませんか?
 顔面神経麻痺を受けとめ、あるがままの自分と向きあうことができれば、その先に乗り越えられるものがあると信じてください。
 いまは思い悩むよりも、治療とリハビリに専念して欲しいのです。 

                                 ともたも 
[2010/02/19 11:31] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(28) | page top
4-1「無疱疹性帯状疱疹(ZSH)の不全ハント症候群」と「ベル麻痺」の識別、抗ウイルス剤治療について…
 「不全ハント症候群」のことが少し気になりましたので調べてみました。

 私の場合は初診時に「ハント症候群」と診断されて、すぐに抗ウイルス剤とステロイド剤の治療を開始できましたが、ハント症候群では顔面神経麻痺を発症した時点で、はっきりと症状の揃っている「完全ハント症候群」は60%に満たないとされています。耳や口中の帯状疱疹は顔面神経麻痺に遅れて現れることがあり、麻痺発症後3日間は特に、最長2週間は観察が必要です。

 また、めまい・耳鳴・難聴や帯状疱疹が出ない場合もあり、これらを「不全ハント症候群」と称しています。医学書等によると、ハント症候群のうち最終的に帯状疱疹が出たものが全体の約80%、めまい・耳鳴・難聴等が現れたものが全体の約70%とされています。

 こうしたなかで、帯状疱疹が遅れて出る場合や、帯状疱疹が出ない「無疱疹性帯状疱疹(ZSH)の不全ハント症候群」と「ベル麻痺」の早期診断、識別が重視されています。

 顔面神経麻痺全体の60~70%を占める「ベル麻痺」は近年、単純ヘルペスウイルス1型:HSV-1(Herpes simplex virus type 1)の関与が示唆されていますが、臨床的診断により「ベル麻痺であろう」とされたうち、約20%は「ハント症候群」といわれています。この20%の多くは「無疱疹性帯状疱疹(ZSH)の不全ハント症候群」だと思われます。

 帯状疱疹ウイルスによるハント症候群か単純ヘルペスウイルス1型が関与するベル麻痺であるかは、ペア血清によるウイルス抗体検査でおよその判断ができますが、検査センターや病院の状況、検査回数等(初診時の血清検査で判定できた場合や、複数回の比較での判定等)により4日~3週間と時間を要し、結果的にハント症候群としての治療が後手に回ることが懸念されています。
 最近は発症早期でも、唾液(咽頭ぬぐい液)からのreal time PCR法(polymerase chain reaction)による診断で、無疱疹性ハント症候群(ZSH)の検索が可能になったようですが、保険適用外で全国どこでも検査できるものではないため、一般的には行われていないようです。(PCR診断は先に流行った新型インフルエンザの時にも使用され、簡易キットによる検査でA型インフルエンザウイルスが検出された場合、新型インフルエンザウイルスだと確定する必要がある場合に使われた診断法です。)
 現状では、帯状疱疹が出ていない場合、第八脳神経(聴神経)の障害である、めまい・耳鳴・難聴等の聴覚障害の有無により、ハント症候群を疑うようですが、前出のように、この症状が出る人が約70%とされ、個々の患者によって症状の現れ方や強弱の差が大きく、診断を困難なものにしています。

 それでは帯状疱疹ウイルスによる「ハント症候群」と単純ヘルペスウイルス1型が関与する「ベル麻痺」の治療の違いは何かというと、抗ウイルス剤の投与量の違いであるようです。
 通常の適応と用法は、抗ヘルペスウイルス剤の内服としては、アシクロビル錠(商品名:ゾビラックス錠)の場合、ベル麻痺で200mgを1日5回(計1000mg)、ハント症候群で800mgを1日5回(計4000mg)とされ、塩酸バラシクロビル錠(商品名:バルトレックス錠)の場合では、ベル麻痺で500mgを1日2回(計1000mg)、ハント症候群に対して1000mgを1日3回(計3000mg)とされていて、5~7日間の服用となっています。

 「ベル麻痺」のなかでハント症候群の可能性が疑われる場合の治療は、病院によって対処の仕方が違うようです。
 ステロイド治療を中心とする病院、ベル麻痺に準じた抗ウイルス剤とステロイド剤を使用する病院、どちらかはっきりするまではハント症候群に準じた抗ウイルス剤とステロイド治療を行う病院…と、さまざまなようです。

 もちろん個々の患者の年齢や病歴、糖尿病や腎障害の有無、副作用等も十分に考慮しなければなりませんが、患者側からすれば、ハント症候群の疑いが少しでもある場合には、最初からハント症候群に準じた抗ウイルス剤とステロイド剤の投与をして様子を見たら良いのでは…?とも思ってしまいます。

 釈然としない気持ちで調べてみると、「ベル麻痺(ZSHを含む)に対して抗ウイルス剤を使用するには、その一部に帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型の関与が明らかであること」という、保険適応上の定義や解釈の問題等もあるようです。

 ハント症候群であった場合、発症から1週間が抗ウイルス剤の有効な期間であり、特に発症3日以内に抗ウイルス剤の治療を始めることが重要とされています。ウイルス検査ではっきりさせている間に、治療の機会を逃してしまうような場合もあるのでしょうか…?

 「ベル麻痺(特発性片側性末梢性顔面神経麻痺)」の定義そのものが除外診断で、最終的に原因が特定できないものがベル麻痺とされます。そうであるならば単純ヘルペスウイルス1型が関与している顔面神経麻痺は、ウイルス性顔面神経麻痺として、ベル麻痺とは別な扱いにした方が良いように思います。

 インフルエンザウイルスが全国の医療機関で、保険適用の検査キットにより、その場でA型B型かが識別できるように、ウイルス性顔面神経麻痺の診断としてreal time PCR法が(真に有効であるならば)保険適用になり、帯状疱疹ウイルスか単純ヘルペスウイルス1型かを早期に検査するシステムが全国レベルでできればと思います(あるいは検査キットが)。

 同時に、ハント症候群が疑われる場合(グレーゾーン)の実状に合った、抗ウイルス剤とステロイド剤治療のガイドラインを提示し、患者にとって最も有益な治療をしていただきたいと願います。

[2010/04/22 22:18] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
4-2電気診断法等と予後診断の必要性。顔面神経麻痺における患者心理について…
 友人と話していて、「顔面麻痺って再発するの?」と聞かれ、自分がまた顔面神経麻痺になったらどうするだろうと思った時に、真っ先に浮かんだのは、「こんどは誘発筋電図検査:ENoG(electroneurography)を絶対に受けたい」、ということでした。

 自分がそうであったように、顔面神経麻痺の患者は、「今の状態から一刻も早く抜け出したい…治るのか治らないのか、これからどうなるのか?」と思い悩み、不安な気持ちでいっぱいになります。
 私の場合はなんとか治癒したけれど、それは「…治療を開始したのが早かったからか?…運が良かったから?…リハビリが功を奏したのか?…何カ月も動かなかった時は?…後遺症が出たら、どうしていただろう?」と、いくつもの疑問が浮かぶようになりました。

 私の顔面は確かに完全麻痺の状態だったけれど、実際の神経そのものはどうなっていたのか…?
 顔面神経の障害(変性)の検査や予後診断等を受けていたら、そうした不安や疑問に少しでも答えが出せたと思うのです。

 通常、顔面麻痺の程度は柳原法での点数(40点満点)を使用することが多いのですが、顔の麻痺した程度がそのまま顔面神経の障害の重症度を正確に表している訳ではありません。もちろん8点以下の完全麻痺よりも、治癒とされる36点にできるだけ近い値の不全麻痺の方が病状は軽度で予後は良好といえますが、完全麻痺の状態であっても神経の障害(変性)が軽ければ治癒をします。

 当ブログの「1-顔面神経麻痺のしくみと治療」で大まかな説明と概念図を載せていますが、より正確に病状と予後の診断をするには、神経興奮性検査:NETや誘発筋電図検査::ENoG、アブミ骨筋反射:SR等を行うことをお薦めします。なかでも誘発筋電図検査::ENoGは現在、神経障害(変性)の程度を測定するのに最も信頼性が高い検査とされています。

 発症後8日以降から有効となるNET検査(never excitability test)では3.5mA以上が異常値とされ、早期(1~3ヵ月以内)に治癒する症例においてはNETが3.5mA未満となりますが、表情筋の収縮を肉眼で判断するため多少の誤差が出るとともに、非治癒例のなかにも同じように3.5mA未満で予後良好と判断される場合があるので、注意を要します。

 アブミ骨筋反射:SR(stapedius reflex)は発症早期にSRが陽性であった場合は、予後良好と判断して良いようですが、SRが陰性の場合には、予後不良と予後良好の両方の場合がありますので、これもNETと同じように注意が必要とされます。

 誘発筋電図検査:ENoG(electroneurography)は発症7~10日目頃に最低値となり、健側と麻痺側との比較で、神経線維がWaller変性を免れて、正常あるいは神経無動作の状態で残存している割合を表しているとされます。医学書等では10%以下が異常値と表記しているだけの場合も多いのですが、患者としては10%以下が異常値なら10%以上は正常?…と受けとってしまうこともあるかと思われます。
 通常、ENoG値が0%の完全脱神経の場合すべての症例で非治癒となり、1~10%では病的共同運動等の後遺症が出現することが多く、20%以上であれば予後はおおむね良好とし、40%以上なら、ほとんどの場合3ヵ月以内に治癒するとされているようです。
 患者にとっては、ENoG値が40%以下で、病的共同運動等の後遺症の可能性が少しでもあるのなら、それは全て注意値であり異常値といえます。

 いずれの検査も単独で行うよりは、顔面麻痺発症10日目頃にENoGと、アブミ骨筋反射、NET等を組み合わせての予後診断が良いかと思われます。

 現在、全国の耳鼻咽喉科医院や耳鼻咽喉科のある医療機関で、ENoG等の検査機器がどれほどの割合で設置されているかは分かりませんが、医療制度の問題等もあり、日本全国の病院で同じレベルの検査や治療が受けられる訳ではないのは確かですし、病院や医師により治療方針も変わってきます。
 抗ウイルス剤やステロイド剤等の治療をやるだけやったのだから、後遺症が出るか出ないかは運任せ、あとは様子をみるしかないと言われれば、患者は時間の経過とともに、これから自分はどうなるのかと思い悩み、不安が増すばかりです。

 病院側が自分のところに十分な検査設備がない場合は、積極的に検査機器のある病院と連携して検査のみでも受けられるように手配して欲しいと思います。
 T大耳鼻咽喉科顔面神経外来のように、「予後診断だけでも引き受けて結果を病院に報告しますので、入院中の患者であっても外出というかたちで検査を受けさせては…」と、他の病院や診療所に呼びかけているところもあります。

 仮に検査結果が悪く後遺症の出現する可能性が高くても、自分の病気の現状と今後の見通しを知ることで、医師と患者がお互いに症状を理解し信頼して治療が進められます。病的共同運動等に対する治療の選択や、リハビリの方法等も変わってきます。
 患者が病気と向きあって治療に参加することは病気に対する不安を少しでも軽減し、後遺症を最小限にとどめることにもつながると思います。


[2010/06/07 18:36] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(24) | page top
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