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1-顔面神経麻痺のしくみと治療
●はじめに

 いま、このブログを見ている人の中には顔面神経麻痺を発症し、これから自分はどうなっていくのだろうと、大きな不安に駆られながら検索した方もいるのではないでしょうか…。

 私は4年前に脳梗塞で倒れ、その原因となった糖尿病のインスリン治療、持病の喘息、他に頚椎症性神経根症を治療中で、唾石症の(左顎下腺摘出)手術も控えています。
 そんな病気のコレクターのような私が、2009年3月5日にハント症候群を発症しました。
目をしっかりと開く
口角を上げてほほえむ

 医者から「ハント症候群は高齢で(60歳)糖尿病があると治療に対してのリスクが高い、即入院して点滴注射を」と強く勧められましたが、仕事の都合等で入院できず、飲み薬だけの治療になり、これでは後遺症が出てもしかたがないと覚悟をしていたのですが、上の経過写真のように、思った以上に回復しました。

 顔面神経麻痺は個人個人の症状や神経変性の状態が多様でつかみづらく、治療やリハビリの方法もはっきりとは確立されていないように思います。
 医療関係者ではない私のような素人の立場で治療やリハビリに対して意見を言うことへの是非はあるでしょうが、患者として経験してきたことや、この病気への自分なりの調査と解釈、治療・リハビリにおける少しの工夫などが、何かの参考になればと思い、ブログを開設してみました。

 尚、当サイトの掲載画像、写真、記事等の無断転載を禁じさせていただきます。

●顔面麻痺を発症したら…

○できるだけ早く耳鼻咽喉科(なるべく入院設備がある)の診察を受けて下さい。早期診断と早期治療が重要です。ハント症候群の場合、発症3日以内に治療を開始した場合と、7日目以降では治癒率に大きな差が出るようです。
 神経変性に対して、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が有効なのは発症後一週間以内、顔面神経の浮腫を取る目的のステロイド薬は二週間とされています。

 あなたがまだ診察を受けていないのなら、今すぐ病院へ向かってください。

●顔面神経麻痺のしくみと後遺症について(改訂)

○そもそも顔面神経が麻痺した状態とはどうなっているのか?神経が再生する時に、なぜ後遺症が出る人と出ない人がいるのか?なぜ病的共同運動が起こるのか…漠然として、イメージするのがとても難しいと思います。
 はじめに顔面神経と神経線維の構造を図にしてみました。

顔面神経と神経線維の構造

 神経細胞(ニューロン)は細胞体とそこから細く長く伸び出した、神経線維と呼ばれる糸のような突起等で構成されています。この神経線維の構造は、軸索(じくさく)を芯にして、いくつものシュワン細胞がロールケーキのように巻きつき髄鞘(ずいしょう)という組織を形成しています。髄鞘は間隔をあけて並び、この構造によって神経線維の表面を走る電気信号(脳からの指令)の速度を上げています。この神経線維がたくさん集まって結合組織の膜に包まれ、鞘の中に収められたものが神経です。

 顔面神経は脳からの指令を顔面筋(表情筋)に伝える神経ですが、脳から頭蓋骨を抜ける時に、側頭骨内にある硬くて狭い骨性顔面神経管という部分(長さ約3.5cm)を通ります。顔面神経管内では、神経内膜という結合組織等で囲まれた4000本あまりの神経線維が密に集積しています。神経は顔面神経管の中で膝神経節(しつしんけいせつ)という、小さなふくらみを形成し、管を出て枝分かれし、眼や口の顔面筋へと伸びています。
 この膝神経節に潜んでいた帯状疱疹ウイルス(水痘ウイルス)が、疲れやストレス等何らかの原因で再活性化し、顔面神経や内耳神経が侵されて顔面麻痺や難聴、めまい等を起こすのがハント症候群です。

 ウイルスに侵された神経は炎症による損傷を受けるとともに腫れあがり、硬くて狭い骨性顔面神経管の中で管に絞めつけられることになります。同時に血管も圧迫されて神経に栄養や酸素を送る血液の流れも悪くなり、この悪循環によっていっそう神経の障害は高度に進み、脱随や軸索断裂によるワーラー変性や神経内膜の損傷等が起こります。こうした神経の障害(変性)の程度により、治癒をする場合と、神経が再生する時に迷入再生を起こし、病的共同運動等の後遺症が出てしまう場合があると考えられています。
 神経の障害(変性)の程度と再生のしくみを図にしてみました。
 実際の神経線維は白色なのですが、分かりやすいように色を付けています。

神経変性と再生・予後

 概念図は、目や頬や口に行く神経を代表していると考えてください。顔面神経麻痺は図に見られるように、個々の患者の神経(髄鞘、軸索、神経内膜等)の損傷や変性の状態により、予後が変わってきます。

○神経無動作の状態は神経の浮腫等により、骨性顔面神経管の中で神経が圧迫されているのみで、髄鞘や軸索に障害はほとんどない状態です。圧がなくなれば顔面神経麻痺は早めに完全回復をします。

○脱髄の状態は髄鞘が損傷を受けているのみで、局所的な伝導障害があるものの軸索に障害はなく、ワーラー変性が起きていないので、髄鞘の再生とともに顔面神経麻痺はほぼ完全に回復できます。

○軸索の断裂があると末梢方向へワーラー変性が起き、損傷遠位部の伝導はなくなりますが、神経内膜等が温存されている場合には軸索が間違った方向に再生されることがないので、良好な回復が期待できます。

○軸索断裂と神経内膜の損傷がある場合、ワーラー変性とともに、再生する軸索が方向性を失い、迷入再生を起こします。過誤支配や多分枝支配等の「病的共同運動」が出現する可能性が高いといえます。
 断裂した部位から末梢側方向への軸索は、およそ10日間で消失し、髄鞘も融解していきます。その後、神経が再生される(1日約1ミリ)途中、本来は口に向かうべき神経が目の方に枝分かれしてしまうこと等があり、後遺症として口を動かすと目が一緒に動く等の「病的共同運動」が起こります。また、唾液の分泌を支配する神経と涙の分泌を支配する神経が混同してしまうと、食事の時に涙が勝手に出てしまう「ワニの涙症候群」が現れる場合があります。

 個々の患者の特性はあるものの、ベル麻痺やハント症候群における神経の障害(変性)の度合いは、初期治療としての、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬(約1週間)と浮腫や炎症等を抑えるステロイド薬の投与の期間(約2週間)に決定されると言えるかもしれません。
 早期診断、早期治療開始の必要性は、ここにあるようです。

○NET(never excitability test)とENoG(electroneurography)の検査
 神経の障害(変性)の状態を調べる電気診断法では、神経興奮性検査:NET (never excitability test)の場合は発症7日目頃に最大値となり、健側と麻痺側の差が3.5mA以上を異常値としています。神経線維(髄鞘・軸索等)の障害(変性)が軽度か高度かをさらに詳しく知るには、発症10~14日頃に最低値となる誘発筋電図検査:ENoG (electroneurography)の結果によります。医学書では、ENoG値10%以下を異常値とし、ENoG値が0%の完全脱神経の場合にはすべての症例で非治癒となってしまい、20%以下では後遺症の出ることが多く、20%以上であれば予後はおおむね良好であろうとされていますが、40%以下なら何らかの後遺症が出る可能性があり注意が必要です。ENoG値が40%以上であれば、ほとんどの場合3ヵ月以内に治癒するとされています。(ここでの%の数値は、ワーラー変性の起きていない神経線維の割合と考えて良いかと思います)
 顔面麻痺が高度な場合、予後診断によって、これからの治療方針やリハビリの方法を決めていくことがたいせつだと思います。

●低周波治療は…

○治療の最大の目的は、神経をできるだけ元通りに再生させ、後遺症を出さない、「病的共同運動」を起こさせないことだと思います。神経変性の図に見るように、神経の障害(変性)が高度な場合、神経構造(髄鞘・軸索・神経内膜等)は不安定な状態にあります。不適当と思われる刺激や無理な力を加えることは、さらに神経を傷つけ、再生する神経線維に迷入再生を起こさせる要因のひとつになるのではと思われます。低周波治療は顔面筋の萎縮や拘縮を防ぐのが目的とされていますが、顔面筋は他の筋肉に比べ、短期間に萎縮するものではないと言われています。
 通常、特に発症早期における低周波治療や粗大なマッサージ、強力な顔面筋運動は、してはならないとされています。
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[2010/02/13 21:43] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(119) | page top
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