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4-2電気診断法等と予後診断の必要性。顔面神経麻痺における患者心理について…
 友人と話していて、「顔面麻痺って再発するの?」と聞かれ、自分がまた顔面神経麻痺になったらどうするだろうと思った時に、真っ先に浮かんだのは、「こんどは誘発筋電図検査:ENoG(electroneurography)を絶対に受けたい」、ということでした。

 自分がそうであったように、顔面神経麻痺の患者は、「今の状態から一刻も早く抜け出したい…治るのか治らないのか、これからどうなるのか?」と思い悩み、不安な気持ちでいっぱいになります。
 私の場合はなんとか治癒したけれど、それは「…治療を開始したのが早かったからか?…運が良かったから?…リハビリが功を奏したのか?…何カ月も動かなかった時は?…後遺症が出たら、どうしていただろう?」と、いくつもの疑問が浮かぶようになりました。

 私の顔面は確かに完全麻痺の状態だったけれど、実際の神経そのものはどうなっていたのか…?
 顔面神経の障害(変性)の検査や予後診断等を受けていたら、そうした不安や疑問に少しでも答えが出せたと思うのです。

 通常、顔面麻痺の程度は柳原法での点数(40点満点)を使用することが多いのですが、顔の麻痺した程度がそのまま顔面神経の障害の重症度を正確に表している訳ではありません。もちろん8点以下の完全麻痺よりも、治癒とされる36点にできるだけ近い値の不全麻痺の方が病状は軽度で予後は良好といえますが、完全麻痺の状態であっても神経の障害(変性)が軽ければ治癒をします。

 当ブログの「1-顔面神経麻痺のしくみと治療」で大まかな説明と概念図を載せていますが、より正確に病状と予後の診断をするには、神経興奮性検査:NETや誘発筋電図検査::ENoG、アブミ骨筋反射:SR等を行うことをお薦めします。なかでも誘発筋電図検査::ENoGは現在、神経障害(変性)の程度を測定するのに最も信頼性が高い検査とされています。

 発症後8日以降から有効となるNET検査(never excitability test)では3.5mA以上が異常値とされ、早期(1~3ヵ月以内)に治癒する症例においてはNETが3.5mA未満となりますが、表情筋の収縮を肉眼で判断するため多少の誤差が出るとともに、非治癒例のなかにも同じように3.5mA未満で予後良好と判断される場合があるので、注意を要します。

 アブミ骨筋反射:SR(stapedius reflex)は発症早期にSRが陽性であった場合は、予後良好と判断して良いようですが、SRが陰性の場合には、予後不良と予後良好の両方の場合がありますので、これもNETと同じように注意が必要とされます。

 誘発筋電図検査:ENoG(electroneurography)は発症7~10日目頃に最低値となり、健側と麻痺側との比較で、神経線維がWaller変性を免れて、正常あるいは神経無動作の状態で残存している割合を表しているとされます。医学書等では10%以下が異常値と表記しているだけの場合も多いのですが、患者としては10%以下が異常値なら10%以上は正常?…と受けとってしまうこともあるかと思われます。
 通常、ENoG値が0%の完全脱神経の場合すべての症例で非治癒となり、1~10%では病的共同運動等の後遺症が出現することが多く、20%以上であれば予後はおおむね良好とし、40%以上なら、ほとんどの場合3ヵ月以内に治癒するとされているようです。
 患者にとっては、ENoG値が40%以下で、病的共同運動等の後遺症の可能性が少しでもあるのなら、それは全て注意値であり異常値といえます。

 いずれの検査も単独で行うよりは、顔面麻痺発症10日目頃にENoGと、アブミ骨筋反射、NET等を組み合わせての予後診断が良いかと思われます。

 現在、全国の耳鼻咽喉科医院や耳鼻咽喉科のある医療機関で、ENoG等の検査機器がどれほどの割合で設置されているかは分かりませんが、医療制度の問題等もあり、日本全国の病院で同じレベルの検査や治療が受けられる訳ではないのは確かですし、病院や医師により治療方針も変わってきます。
 抗ウイルス剤やステロイド剤等の治療をやるだけやったのだから、後遺症が出るか出ないかは運任せ、あとは様子をみるしかないと言われれば、患者は時間の経過とともに、これから自分はどうなるのかと思い悩み、不安が増すばかりです。

 病院側が自分のところに十分な検査設備がない場合は、積極的に検査機器のある病院と連携して検査のみでも受けられるように手配して欲しいと思います。
 T大耳鼻咽喉科顔面神経外来のように、「予後診断だけでも引き受けて結果を病院に報告しますので、入院中の患者であっても外出というかたちで検査を受けさせては…」と、他の病院や診療所に呼びかけているところもあります。

 仮に検査結果が悪く後遺症の出現する可能性が高くても、自分の病気の現状と今後の見通しを知ることで、医師と患者がお互いに症状を理解し信頼して治療が進められます。病的共同運動等に対する治療の選択や、リハビリの方法等も変わってきます。
 患者が病気と向きあって治療に参加することは病気に対する不安を少しでも軽減し、後遺症を最小限にとどめることにもつながると思います。


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[2010/06/07 18:36] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(24) | page top
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